世の中にはたくさんの健康食品が溢れています。その中には、「サプリメント」と言われるものがあります。
このようなサプリメントを飲むことで、バストのハリをよみがえらせたり、ハリを出したりすることはできるのでしょうか?
75パーセントの人が健康食品を利用したことがある
バストケアを目的としたサプリメントに限らず、サプリメントは健康食品に分類されています。
そして、多くの人が健康食品を生活に取り入れています。
内閣府の消費者委員会が30000人の予備調査から10000人を抽出して行った大規模なアンケートでは「なんらかのかたちで健康食品を摂取したことがある」とした人の割合が75パーセントとなっています。
また、全体の60パーセントは「健康食品を今も利用している(毎日・たまに の両方を合わせた数字)」と答えています。
一方「今まで健康食品を利用したことがない」と答えた人の割合はわずか25パーセントにとどまっており、健康食品が非常に多くの人に受け入れられているのだということがわかります。
健康食品を利用する人の多くは、「健康を増進すること」「体調を維持したり、体調不良になるのを予防したりすること」「病状を軽くすること」を目的として健康食品をとっています。
ただ、「美容のため」と答えた人の割合は15.4パーセント、「ダイエットのため」と答えた人の割合は14.0パーセント、「老化予防」と答えた人が14.5パーセントいることを考えれば、美容のために健康食品をとる人の割合も決して少なくはないといえるでしょう。
今回取り上げる「バストケアを目的として摂取する人が多いサプリメント」も、美容や老化予防といったジャンルに分類されるものですが、数字からも、多くの人が美容目的の健康食品に関心を寄せていることがわかります。
消費者委員会「消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(アンケート調査)
健康食品の満足度
これもまたバストケアを目的として摂取する人が多いサプリメントに限った話ではありませんが、同じデータによれば「美容を目的として健康食品をとっている人のうちの、62パーセントが結果に満足している(「満足」と「やや満足」を足したときの数字)」と答えています。
「老化防止」に関しても同じように、67.9パーセントが「満足」としています。
多くの人が満足しているという結果になっていますが、どのような健康食品でも一定の効果を示すとまではいえません。
健康食品の印象や満足度には主観的な要因が強く関わるものです。
また、プラシーボ効果(偽薬効果)もあります。
そのため、「健康食品をとれば、ほかの多くの人と同じように、自分にもよい変化が確実に起こるのだ」と考えるのは間違いです。
サプリメントとハリの関係
健康食品は多くの人に受け入れられていて、多くの人が満足感を抱くものではありますが、だからといって「効果がある」「変化がある」と立証されるものではありません。
サプリメントとバストのハリの関係を考えていくうえでも同じで、「これを飲めばバストにハリが出る」と確約できるようなサプリメントはありません。
実は健康食品は「薬機法」によって謳える効果効能の範囲が決められています。
基本的には、サプリメントの多くは「バストのハリを出すこと」を謳うことはできません。
健康食品の場合は、特定の部位(この場合はバスト)の状態が変化することを効果として具体的に謳うことが禁止されているのです。
また、そもそもサプリメントにおいては、「特定の部位」を言及する表現自体が認められていません。
バストケアのことを調べていると、「バストアップサプリメント」などという表現を目にすることが多くありますが、これは、「バストという特定の部位を謳っている」「アップという、部位の変化を具体的に謳っている」ということから、2つの点で認められていない表現といえます。
サプリメントが体に及ぼす影響は、薬よりもずっとずっと緩やかです。
多くの人が体の変化や病気の予防などを目的として健康食品をとっていますが、国ではこのように謳うことを認めていません。
また、サプリメントはあくまで健康食品であるため、バストにハリを出したりバストサイズをアップさせたりする効果を求めることはできません。
このようなことを総合的に考えると、「バストケアを目的とした人たちがとっているサプリメントには、実際にはバストのハリを直接的に増やすはできない」という結論に至ります。
サプリメントの効果は否定されるのか?
薬事法や、健康食品が及ぼせる範囲からというだけでなく、バストケアを目的としたサプリメントにはさまざまな問題点があります。
これはバストケアを目的としたサプリメントの成分からわかります。
バストケアを目的としたサプリメントによく配合されているコラーゲンやヒアルロン酸は、たしかにバストのハリを出すために大切な成分だといえます。
これらのおかげで私たちの肌のハリは保たれています。
しかし、年齢を重ねるとコラーゲンの生産量は落ちていき、バストは徐々に垂れさがりハリを失っていきます。
ですから、「体内で生産されるコラーゲン量が少なくなったのならば、バストケアを目的としたサプリメントで供給してやればよい」という考えにいたるのです。
しかし、コラーゲンやヒアルロン酸は体内に入って来るとそのまま分解され、吸収されていきます。
摂取したコラーゲンやヒアルロン酸が、直接的にバストの成分として働くことはできないのです。
また、バストケアを目的としたサプリメントとして「プエラリア・ミリフィカ」というものがあります。
これはマメ科に分類される植物であり、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きを示すものです。
これが配合したバストケアを目的としたサプリメントは非常に多く、また実際にこれを飲んだことで「胸にハリが出た」と答える人もいます。
ただ、このような感想はあくまで個人的なものにとどまります。
また、プエラリア・ミリフィカについては、副作用があるとして国からも警鐘が鳴らされています。
プエラリア・ミリフィカよりも安全性が高いとされているイソフラボンを配合したバストケアを目的としたサプリメントもありますが、これらにも実は摂取限度量があるので注意が必要です。
サプリメントはまったく意味を持たないのか?
基本的には、バストケアを目的としたサプリメントは効果がないといえます。
ただ、それでも、サプリメントがまったく無意味かといわれるとそうではありません。
サプリメントによる効果の判断はたしかに主観的なものとはなりますが、6割以上の人が健康食品を飲み続けており、また美容目的で健康食品を摂取する人のうちの6割以上が効果を実感しているというデータがあることは事実です。
また、プエラリア・ミリフィカにおいても、女性ホルモンであるエストロゲンと非常によく似た作用を持つために警鐘が鳴らされるようになったという経緯があります。
このようなことを考えれば、サプリメントの及ぼす影響は一概に否定できるものでもない、といえるでしょう。
サプリメントを摂取するかどうかは、個人の判断に委ねられます。
ただ、極端な作用を示すもの・副作用が出るものではないかぎりは比較的安全に飲めるものだといえます。
「きかなくてもいいけれど、きいたらラッキーかも」という軽い気持ちで飲んでみるのもひとつの手だといえます。
体に異常が出たのならばすぐに服用を中止して病院などに行く必要はありますが、サプリメントは全肯定されるべきものでもなければ全否定されるべきものもありません。
自分の判断で、無理なく続けていけばよいでしょう。
ただし、日本で販売されているサプリメントが高価であるから、自分が求める成分の含有量が低いから、などといった理由で輸入業者などを使って買うという選択肢は選ばないでください。
このようなやり方で購入する海外製品の場合、安全性も効果も担保されません。
個人で輸入する場合も同様に、お勧めできません。
必ず、安全性が確認できたサプリメントのみ選びましょう。