垂れた胸を元の状態に戻すことは非常に難しいものです。
ただ、運動をして筋肉を付けることで胸が垂れることを予防することはできます。
今回は「胸の垂れ」と「筋肉」の関係について見ていきます。
胸筋を鍛えると胸は崩れにくくなる~胸筋がもたらすプラスの効果
胸筋を鍛えることは、バストのかたちを整えるうえで非常に重要です。
胸筋を鍛えると胸のかたちが崩れにくくなる
「胸筋」は、胸の部分に存在する筋肉です。
胸筋の上に、脂肪と乳腺で構成された胸が乗っています。
胸筋はバストを支える土台のようなものですから、ここがしっかりしているとバストは崩れにくくなります。
逆に、土台である胸筋がきちんと鍛えられていないと、上からいくら脂肪を積み重ねてもなかなかワキやお腹の方に肉が流れていきやすくなってしまいます。
胸筋を鍛えるということは、家づくりにおける「土台作り」のようなものであり、非常に重要なのです。
胸筋を鍛えることで胸に厚みが出てバストアップができる
胸筋を鍛えることで、胸のボリュームアップをはかることができます。
筋肉の分だけ胸が前面に押し出されることになりますから、その分胸に厚みがでます。
これによって、バストサイズアップが可能となるのです。
また、これは筋肉によるバストサイズアップですから、単純に「太ったことで胸にお肉がついた」ときとは異なり、ほとんど形が崩れることがありません。
新陳代謝が活性化され、若々しい胸を作ることができる
運動には多くのメリットがありますが、特にバストと関わってくるものとして、「新陳代謝が活性化される」というものがあります。
運動を行うことによって胸の細胞に効率よく酸素や栄養素が運ばれるようになり、若々しくピンとハリのある胸を作りやすくなります。
バストが垂れる原因のうちもっとも大きいのは「加齢」ですから、これに抗う力を発揮するという意味では、胸筋を鍛えることには意味があるといえるでしょう。
引き締まったボディラインをつくることができる
「胸のハリを取り戻したい」「胸の垂れを解消したい」と考えている人のなかには、それ以外にも改善したい体の部分や解消したいコンプレックスがあるのではないでしょうか。
特に「ダイエットをしたい」「シャープなボディラインをつくりたい」「若々しくみえるスタイルを作りたい」と願う人が多いものです。
運動はこのような悩みも解消してくれます。
バストアップをしたり胸の土台を作ったりするだけでなく、体全体をほっそりと、若々しく見せる作用もあるのです。
このため「出るところ(バスト)はきちんと出ているが、体全体はほっそりとしまっている」という理想的なボディスタイルをつくりだすことができるのです。
ですから体のトータルメンテナンス、トータルケアという意味でも運動は有用なのです。
運動によってストレスが解消される
「ストレス」は私たちの体を追い込み、傷つけてしまうものです。
時には心に、時には体に悪影響を与えるストレスは、大変厄介なものです。
ストレスは体の中に活性酸素を生じさせるとされています。
この活性酸素とは、「一般的な酸素に比べて、活発に働く酸素」のことをいいます。
この活性酸素自体は実は悪者ではなく、免疫機能や防御機能を発揮するものでもあります。
本来は、人間に対してよい影響を与えるものでもあるのです。
しかし活性酸素が過剰に作られてしまった場合は、体を傷つけることになってしまいます。
過剰に作られた活性酸素は、肌の老化やがん、あるいは生活習慣病の原因の1つになると考えられています。
このようなことから、活性酸素はデメリットばかりではないものの警戒すべき物質だと考えられています。
このような活性酸素の発生に対抗できるのが「運動」です。
運動を行うことによりストレスはある程度解消されます。
また、運動によってもたらされる心地よい疲れは、私たちを睡眠へと導きます。
そして睡眠もまた、ストレスを解消するもっとも有用な手段のうちの一つなのです。
筋肉をつけると、胸の垂れは改善する?
このようにバストに良い影響をもたらす「運動」ですが、これは「胸の垂れ」に対してはどのような影響を与えるのでしょうか。
「恐らく良い影響を与えるのだろう」ということはわかるものの、いったいどれほどの効果が見込めるかを確認しておきたいものです。
「予防」にはなる
胸筋を鍛えることで、胸の土台がしっかりし、胸が崩れにくくなります。
また、上でも述べたように、運動によって肌の新陳代謝がよくなり、ストレスの発散ができます。
つまり運動を行うことで、胸の垂れる速度を遅くしたり、肌が老化していくのを遅くしたりすることができるわけです。
このようなメリットとは非常に大きいといえます。
運動がバストの垂れの対策としてとりあげられるのは、このためです。
ただ、運動はあくまで胸の老化速度を「遅く」しているだけです。
たとえどれだけ運動をしていたとしても、体自体が年をとっていくことを完全に止めることはできません。
運動をしている人の体は運動をしていない人に比べて若々しい状態を長く維持することが可能ですが、老化自体を「ブロック」できるわけではありません。
つまり、運動は老化をストップさせるものではなく、あくまで「予防」にとどまるわけです。
運動で胸の垂れを改善・解消することは可能?
では、運動をすることで「すでに起きてしまった胸の垂れ」を改善することはできるのでしょうか?
これはある意味では「できる」といえますし、ある意味では「できない」といえます。
その理由を知るために、まずは「なぜ胸は垂れるのか」から解説していきます。
胸は脂肪と乳腺によってできています。
そしてそこれらを胸筋とクーパー靭帯が支えています。
クーパー靭帯とは胸のハリやかたちを維持するためにも利用されている靭帯をいいます。
このクーパー靭帯が胸の脂肪全体を包んで若々しい胸を作っていますので、胸筋同様、胸のかたちを維持するために非常に重要なのです。
ただ、クーパー靭帯はいつまでも同じかたちで存在し続けるわけではありません。
胸が上下左右に振られることで切れることがありますし、また急激なダイエットや卒乳などで今まで大きかった胸が急激にしぼんだ場合、クーパー靭帯が伸びた状態になってしまうこともあります。
そしてクーパー靭帯は、一度切れたり伸びたりすると元に戻りません。
このため、クーパー靭帯の損傷によって支えを失ったバストは垂れていくのです。
胸筋を鍛えたとしても、一度切れてしまったり伸びたりしてしまったクーパー靭帯は元に戻りませんから、バストを元の位置に戻すことはできません。
このようなことを考えれば、「胸筋を鍛えたとしても、胸の垂れは改善しない」ということになります。
ただ脂肪は、運動によって筋肉へ置き換わっていきます。
ですから現在の胸の脂肪が筋肉に置き変わるところまで運動で体を追い込めば、胸の垂れは解消します。
「垂れがなくなること」だけを目標とするのであれば、運動はたしかに有効といえます。
もっとも、これはあくまで理論にだけ基づいたときの話です。
このようにして鍛えられた胸は、私たちがイメージする「柔らかく、ふっくらとしていて、豊かで、ハリのある胸」とはまったく異なり、「がっしりとした、しっかりとついた、硬い筋肉によって構成された胸」になるからです。
ボディビルダーの鍛えられた胸板や、脂肪をこそげ落とした陸上選手などのような胸になるということです。
一般的な女性の場合、ここまで体を追い込むことはできません。
この2つを合わせて考えると、運動によって胸の垂れを解消することはできるが、その際のバストは一般的にイメージされる「胸」とは異なるという事がわかります。
胸筋を鍛えることは、たしかに「胸の垂れ」を予防する手段にはなりえますが、垂れてしまった胸を元どおりに改善させる方法とまではいえないのです。
胸筋を鍛える方法と注意点
胸筋を鍛えるためには腕立て伏せが非常に有用です。
両手を肩幅に開き、体を一直線にして、顎を地面に近づけるイメージで体を下げていきます。
ただ、運動をあまりしていない人の場合は腕立て伏せを行うのはなかなか難しいですから、膝をついてしまって構いません。
上半身だけで腕立て伏せを行います。
回数に関しては、「これ以上はできない」というところまでやっていくようにします。「○回」という「回数」ではなく、自分の体力と相談して決めるのが基本です。
ただ、「まったく目安がないということではやりにくい」ということであれば、20回×3を基準にするとよいでしょう。
なお、運動を行う際は胸が大きくゆれます。
そしてこの「揺れ」はクーパー靭帯の損傷に直結しますから、必ずブラジャーをつけて運動しましょう。
理想的なのは、運動する人用に作られた「スポーツブラ」です。
これからも運動をしていくということであれば、最低でも1枚は取り寄せておきたいものです。