上半身につくぜい肉のなかでも扱いが難しいのが「脇肉」です。
脇肉はなぜできるのでしょうか?脇肉を落とすことはできるのでしょうか?
脇肉はバストまで移動させることはできるのでしょうか?
今回は脇肉について考えていきます。
脇肉ができる原因について
ブラジャーのカップの外側や肩紐の外側など、脇の下周辺でぷにっと溢れてしまうお肉を脇肉と言います。
洋服をきた際のシルエットにも響いてしまうこの脇肉はなぜできてしまうのでしょうか?
もっとも大きな原因はとしては、やはり肥満でしょう。
摂取カロリーが消費カロリーを上回る事で太っていきますが、その際には脇肉も当然つくことになります。
人間の体には脂肪がつきやすい場所とつきにくい場所がありますが、脇肉は比較的脂肪がつきにくい場所でもありますので、この部分に贅肉がついたということであれば、食生活を少し見直した方がよいでしょう。
ただ、脇肉は肥満によってのみ起こるものではありません。
「バストから脂肪が移動する」は本当?
脇肉の話をするとき、しばしば話題となるのが「バストの脂肪が脇の方に流れて行ってしまい、脇肉のようになってしまう」という話です。
バストは、非常に柔らかいものです。そのため、寝転がった姿勢を取ると波が波紋を広げるようにしてバストの肉が平らになりますし、横を向けばそのまま横の方に流れて行ってしまいます。
ただ、このような一時的な変化だけではなく、「若いころに比べて、胸が小さくなって代わりに脇肉が大きくなった」と感じる人もいるでしょう。
このような場合、まるで胸の脂肪が脇にそのまま移動してしまったような感覚を抱くことでしょう。
しかし実際には、バストの脂肪が脇の方に流れ、バストの肉から脇肉に変化したというわけではありません。
この現象は主にクーパー靭帯(じんたい)の損傷・伸びが原因となっています。
クーパー靭帯は、胸を包み込むようにして存在する靭帯です。
この靭帯が私たちの胸を支え、胸筋と力を合わせてバストのかたちを維持しています。上向きの、若々しいバストをつくるためにクーパー靭帯は欠かすことのできないものなのです。
ただ、クーパー靭帯はそれほど丈夫なものではありません。クーパー靭帯は運動などによって上下左右にバストが動くことでたやすく切れてしまいます。
また、クーパー靭帯の主成分はコラーゲンですから、年を取ることで体内のコラーゲンが減少すれば、次第に伸びていきます。
クーパー靭帯は一度切れたり伸びたりしてしまったら二度と元の状態に戻すことができませんから、クーパー靭帯が損傷すると、支えを失った胸は垂れ下がっていきます。
さらに「クーパー靭帯の損傷」は脇肉の発生にも繋がります。
クーパー靭帯が元気なときは体の前面でバストをキープできますが、クーパー靭帯の働きがなければ、バストは横に広がったような形になってしまいます。
バストの80〜90%は脂肪でできていますから、その形が広がると脂肪は脇にまでおよび、脇肉となってしまうのです。
バストの脂肪がそのまま脇に流れていったように見えますので、たしかに脂肪が移動したように感じます。
ただこれは、「バストの脂肪がそのまま脇肉に成り代わった」ということではありません。
どちらかというと、「支えを失ったバストが、型崩れした」と表現するのが自然です。
また、しばしば「バストケアマッサージによって、脇の肉がバスト側へ移動する」「脇のぜい肉を持ってきて、胸の部分に移動させる」という論調も見かけますが、このようなことも不可能だと考えるのが一般的です。
特定の部位を特定の手法でもみほぐしたからといって、脂肪細胞そのものが移動することはないと考えるのが妥当です。
脇肉を落とすならば、やはり運動が必要
「脇肉の落とし方を知りたい」と考えている人にとっては、外見の見た目をすぐに変えることができる補正下着やブラジャーは大変有用なものです。
またこれらは、クーパー靭帯の損傷を予防してくれるものでもありますので、バストの型崩れや脇肉の発生を予防することができます。
ただ、確実に脇肉をなくしたいということであれば、やはり、運動か手術に頼ることになるでしょう。
ダイエットの基本は、摂取したカロリーよりも多くのカロリーを消費することです。
人の体は生きているだけでカロリーを消費しますが、運動を組み合わせることでさらにカロリーが消費されることになります。
この結果として、人は痩せていくのです。
激しい運動の方が消費カロリー量は多いのですが、「痩せること」を目的にするのであれば、有酸素運動がおすすめです。
消費するカロリーというのは、心拍数と運動している時間が直線的に関係しています。
つまり、高い心拍数で長時間運動することで非常に大きなカロリーを消費することができます。
しかし現実的にはこのような運動をすることは不可能です。
高い心拍数を実現するには全力で運動する必要がありますが、全力の運動を長時間継続することはできません。
このため、ダイエットにはほどほどの心拍数を刻める運動を長時間行うことが良いとされています。
具体的に、隣の人と会話しながらできるくらいのウォーキングを長時間行うのが良いでしょう。
なお、運動によって脇肉を落としていく場合、ほかの部位の脂肪も落とすことになりますので、結果としてシャープで若々しい体つきをつくることができます。
また筋肉がついた体は脂肪をよく消費するようになるため、痩せやすい体にもなります。
脇肉をなくす最終手段、美容外科手術
脇肉を確実になくす方法として、もう1つ「美容外科手術」も挙げておきます。
これはだれでも労せずに理想の体をつくることができるもので、運動とは異なり、脇肉だけをピンポイントで落とすことができます。
脇肉にアプローチする方法は大きく分けて二つあります。
ひとつは脂肪吸引手術。もうひとつは脂肪溶解注射です。
脂肪吸引手術は多くの人が一度は耳にしたことのあるものでしょう。
麻酔をしたうえで管を挿入し、脂肪を抜き取りますので、確実にその部分の脂肪を落としていきます。
主に足やお腹、お尻などによく使われる手法ですが、脇肉に対しても効果的です。
もう1つ紹介したいのが脂肪溶解注射です。
これは「イタリアンメソセラピー」「メソシェイプ」などの名前で呼ばれることもあるもので、脂肪を溶かす薬剤を打ち込んでいく施術です。
溶けた脂肪は老廃物とともに体の外に出ていくため、すっきりとした脇を手に入れることができます。
脂肪溶解注射の効果は、脂肪吸引手術に比べると穏やかです。しかしダウンタイムが極めて短く、体に負担を掛けない方法です。
脇の場合はお腹周りなどに比べると脂肪がつきにくいため、脂肪溶解注射でも十分に効果を実感できでしょう。
補正下着には意味がある?
「脂肪をバストまで移動させ、その状態を永続的に維持すること」はできないと考えることが妥当ですが、ブラジャーや補正下着のなかには「バストが脇に流れるのを防止するもの」「脇の肉を集めて胸を盛るもの」などがあります。
このようなブラジャーはたしかにバストが脇に流れるのを防止し、一時的に脇肉をバストまで寄せることができます。
ただ、その効果はあくまでブラジャーをつけているときだけに限られ、ブラジャーを外せばまた元の位置に戻ってしまうのです。
ただだからといって、補正下着などがまったくの無力であるかというとそうでもありません。
脇肉はクーパー靭帯の損傷によってバストが型崩れした結果ですので、補正下着の力を借りれば、バストとそうでない部分の境目をハッキリとさせることができます。
補正効果があるブラジャーの多くは脇肉をカバーできるように、サイドベルトが幅広に作られています。
そしてこの幅広のサイドベルトによって脇には圧力がかかり、その部分に脂肪がつきにくなります。
人の体は日々新陳代謝を繰り返していますから、補正下着を着用する事で脇肉がつきにくい状態を継続させることができれば、脇肉は無くなっていくでしょう。
もちろん、脂肪を無くしていくわけですから、食生活の見直しは必須です。
補正下着などで外見の美しさを保つことは有効ですし、脇肉をつきにくくすることはできます。
しかし、脇肉を確実に落としていくには、運動か美容外科手術が必要になります。
どちらを選ぶかは人それぞれですが、美容外科手術最終手段と捉え、まずは運動習慣をつけることや、食生活を見直すことが大切です。
そして、自分の生活習慣を見直すことができるなら、補正下着は大きな助けになるでしょう。