垂れないバストを作るために大切な組織、クーパー靭帯って何?

「垂れていない上向きなバストに憧れる」「美しく若々しいバストを保ちたい」と考える人は多いのではないでしょうか。

このような人に注目してほしい「クーパー靭帯」という言葉があります。

クーパー靭帯はどのようにバストに影響しているのか、そして垂れないバストを作るためには何が必要か、ご紹介します。

クーパー靭帯とはどんなもの?

クーパー靭帯(じんたい)とは胸の内部に存在する靭帯のことで、コラーゲンが主成分としており、ある程度の硬さを持っています。

乳腺を支えるために変化した組織と考えられており、膜のようなかたちで存在しています。

乳児に母乳をあげるために存在する乳腺を皮ふや筋肉と結びつけて支えるためにあるのがクーパー靭帯なのです。

クーパー靭帯はよく「切れる」「伸びる」という表現が使われるため、足の靭帯のように左右に分かれているように思われがちですが、実際には胸の中に無数に存在する靭帯です。

胸に丸みが生まれるのは、クーパー靭帯が胸の中に無数に存在するからだといわれています。

クーパー靭帯は、若々しく美しい上向きのバストを作るために非常に重要なもので、このクーパー靭帯があるお陰で、バストは丸く、上向きのかたちを保つことができるのです。

このため、バストの垂れを気にする人にとって、注目しなければならない重要な組織だといえます。

クーパー靭帯の伸びについて

クーパー靭帯は、ずっと「健康なかたち」「かわらないかたち」でいられるわけではありません。

クーパー靭帯は加齢や成長によって、大きく分けると2度のタイミングで変化していきます。

成長期を迎えると、女児のバストは「女性らしいバスト」へと変わっていきます。

初潮の1年ほど前から徐々に胸が大きくなり始め、4年ほどの時間をかけて成熟していきます。

そして胸の重さや大きさが増大するにしたがって、クーパー靭帯も伸びていきます。成長した乳房を支えるために、クーパー靭帯がかたちを変えていくわけです。

バストの垂れなどを考えるとき、「クーパー靭帯が伸びること=悪いこと」のようにとらえられることが多いかと思われますが、このように、当たり前に見られる自然な成長によってクーパー靭帯が伸びることもあるのです。

ただこれはごく自然なことですし、あまり問題視されることでもありませんから取り上げられることは少ないといえるでしょう。

もう1つの大きな変化は、妊娠~出産~授乳~卒乳のタイミングで起こるでしょう。

女性の胸はもともと乳幼児に母乳をあげるために存在するものです。

そのため、妊娠~出産~授乳のタイミングで、女性の胸は大きく育ちます。

女性ホルモンの働きを受けて乳腺が発達し、効率よく授乳できるようになっていくのです。

この時期の胸の成長は極めて著しく、2カップ以上も胸のサイズがアップすることも珍しくありません。

このタイミングのバストのサイズアップに伴い、クーパー靭帯もまた伸びていきます。

大きくなった胸を支えるために、クーパー靭帯はその長さを変えるわけです。

ただ、妊娠~出産~授乳によって成長したバストは、母乳が必要となくなったときから徐々にザイズダウンしていきます。正確に言うと、元のサイズに戻っていくのです。

これが、大人の体になるためにバストも成長していくという成長期のバストサイズアップとの相違点です。

成長期に育ったバストは基本的にはそのまま維持されるためクーパー靭帯の伸びを意識する人はほとんどいないかと思いますが、卒乳した後に「胸が垂れた」と感じる人が多いのはこのためです。

また、クーパー靭帯はこのような変化だけでなく、スポーツや日常生活で胸が上下左右に振られることによっても損傷することがあります。

一度損傷したクーパー靭帯は元に戻らない

これは非常に重要な点ですが、一度伸びてしまった、あるいは切れてしまったクーパー靭帯は、二度と元には戻りません

これはクーパー靭帯に限ったことではないのですが、靭帯は(若干の伸縮性がある部位もありますが基本的には)伸び縮みするものではありません。

筋肉のように、力を入れたり抜いたりすることで状態が変化するものではないのです。

そのため、一度伸びてしまったり切れてしまったりした場合、元の状態に復元することは不可能なのです。

美容外科手術のなかには、クーパー靭帯に働きかけるものもありますが、伸びてしまったクーパー靭帯を短くすることによって垂れを解消する方法であって、伸びてしまったクーパー靭帯を元の長さのまま支える力を復活させたり、切れてしまったクーパー靭帯を修復するというものではありません。

クーパー靭帯は、一度伸びたり損傷したりしてしまえば元に戻す方法などないのです。

しばしば、バストケアエステサロンなどで「クーパー靭帯を元に戻せる」などと謳っているところも見かけます。

しかし、エステサロンで使うことのできる機械は、病院・クリニックで使うことのできる機械よりもずっと効力が弱いものです。

クリニックでもできない「クーパー靭帯の復元・修復」が、エステサロンでならばできる……と考えるのは、かなり難しいでしょう

また、「クーパー靭帯がコラーゲンでできているのであれば、コラーゲンの入ったクリームを塗ればよい、あるいはコラーゲンの配合されたものを食べればよい」と考える人もいるかもしれませんが、これも間違いです。

コラーゲン入りのクリームは胸の保湿には役立ちますが、浸透できるのはお肌の角質層までであり、クーパー靭帯に直接働きかけられるわけではありません。

低分子コラーゲンの有用性までは否定しきれませんが、一般的なコラーゲン食品は分解されて吸収されるだけです。

このため、「コラーゲンを食べれば、クーパー靭帯がよみがえる」と考えるのも間違いです。

「クーパー靭帯が切れたら治らないのであれば、切れないようにクーパー靭帯を強くすればよいのだ」という考えも間違っています。

そもそも靭帯は強くすることができないものだと考えるのが妥当です。

なお「靭帯が切れた場合、リハビリをして強くする」という方法はたしかにあり、足などの太い靭帯ならばこれも可能です。

ただこの場合でも、正確言えばリハビリをして「元の状態に近づける」ということになります。

前と同じように働けるようになるまでリハビリを行っていくわけであって、もともとの状態よりも強くすることを目的としているわけではありません。

また、もともとの状態よりも強くすることは不可能です。

この2つの点を考えれば、クーパー靭帯は切れたり伸びたりしたら元に戻らないし、切れないようにするために鍛えることもできない事がわかります。

このため、切れることを予防するしかないのです。

クーパー靭帯の損傷を抑えるためには

クーパー靭帯の損傷が不可逆なものである以上、私たちができるのはクーパー靭帯が切れないように予防することだけだといえます。

しかしこの予防が非常に重要なのです。

クーパー靭帯が切れたり伸びたりしなければ、長期間上向きで高さがある、若々しいバストを保つことが可能だからです。

正しいサイズの下着を身に着ける

もっとも有用な方法のうちの一つが、正しいサイズの下着を身に着けることです。

ブラジャーは胸が上下左右に振れることを防止してくれるため、クーパー靭帯の伸びに対して簡単に対策できます。

しかし小さすぎるブラジャーは血行を悪くさせますし、逆に大きすぎるブラジャーでは十分に胸を支えられません。

重要なことは、自分のバストにあったサイズのブラジャーをつけることです。

胸のサイズはたやすく変わるので、定期的に測り直しをして、自分に合うサイズのブラジャーを身につけましょう。

用途にあった下着を身に着ける

日常生活を営むとき、スポーツをするとき、寝るときなど、そのシチュエーションによって求められるブラジャーの機能は異なります。

日常生活を営むときに必要なのは胸が重力に負けないように支えてくれるブラジャーですし、スポーツを行うときに求められる下着は激しい運動による振動からしっかり胸を守ってくれるものでなければなりません。

夜着けるときの下着には、通気性の良さと、寝返りから胸を守ってくれる機能性が必要でしょう。

それぞれのシチュエーションで求められるブラジャーのあり方は異なるのです。用途に合ったものを選びましょう

適度な運動やストレスの解消、食事、姿勢も大切

クーパー靭帯に直接アプローチする方法ではありませんが、胸を健康な状態にする行動も大切です。

まず、クーパー靭帯の主成分である「コラーゲン」は、加齢とともにその質が落ち、また量も減っていきます。

このため、体全体の老化速度を遅らせることができれば、コラーゲンの量・質の低下も遅らせることができるのではないかと考えられます。

適度な運動を行い、血行を促進させましょう。

また、ストレスのある生活は人を早く老けさせますから、ストレス解消も心がけたいものです。

そして栄養バランスのとれた食事も大切です。健全な食生活が体を作りますので、結果的にはバストに影響するのです。

姿勢にも気をつけましょう。

もし猫背気味であったら、クーパー靭帯の状態に関わらずバストは下を向いてしまいます。

姿勢を見直すだけで上向きのバストになることもありますので、是非改善してみてください。

これらはクーパー靭帯に直接影響する訳ではありませんが、上向きのバストを目指すのであればとても大切です。

クーパ靭帯の損傷を予防するために正しく下着を着用し、さらに普段の生活も見直していければ、バスト垂れも怖くありません!

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